「ウォッカ屋」物語


「ウォッカ屋」物語<その5>

 「うすうす、聞かずとも聞こえてきたところによると」とその男はしゃべり始めた。「あなたは、デザイナーなのですか?グラフィックの?」「・・・・・」「ちょっと、いいですか?」「・・・・・」「少し時間を下さい」
「どこかにお勤めのスタッフデザイナーでしようか?」「そ、そうですが?あ、あなたは?」
「これは申し遅れました」とその男はおもむろに名刺を差し出した。その名刺には次のように印刷された文字が浮かんでいた。「SAS  スカンジナビア航空日本支社 アドバタイジング・ディレクター○○○○」

 しばらくの間は沈黙の空気がながれたが「何なんでしょうか?」と口火を切って尋ねると・・・
「ここでは何だから、日を改め少し時間を頂いて我が社のオフィスに私を訪ねて頂けませんか?」
と言いながら美味そうに自分のウオッカを一気に飲み干した。何だか薄気味悪い予感がしたが、また何か期待したい気持ちもあったように思う・・・その日はそれで後は他愛ない話で友人と飲み続けたのである。それから2〜3日たったある日・・・・