「ウォッカ屋」物語


「ウォッカ屋」物語<その3>

ウォッカ屋物語  その透明な瓶に入ったカリカリに凍ったウォッカの銘柄は結局判らなかったが、瓶を手に取り自分でシングルグラスに注ぎ一気に飲むのである。一杯呑む度に目の前に置いたメモ用紙に鉛筆で「正」と言う字を書いてゆく・・そう例の数を数える時の。
これで自分の飲んだシングルの数を申告して行くのだ。黒光りしているカウンターにこぼしたり、こぼれたりしたウォッカはそこの店主が見事に火をつけて、青白い光をはなってカウンターを這って行くのは綺麗なショウを見るようだった。
このシングル1杯が当時70円・・安かったようにも思うが、ウォッカの美味しさはまた、格別だったのである。勿論1度に多く呑める訳ではなく、と思いつつ寒い時期は体がカーッと温まるまでには数杯飲むとになる。