「ウォッカ屋」物語


「ウォッカ屋」物語<その1>

 ある時期非常にウオッカに凝ったことがありました・・・

 昔、銀座通りと新橋の境目あたりに「ウオッカ屋」と言う看板を掲げた居酒屋があった。それはちょうど夕霧が立ち込めたような寒い日のこと、ふと、見上げた看板がそれ、「ウオッカ屋」である。そこは何とも言えない古びた感じの佇まいであったが、煤けたドアを押し開けて中に入ってみると、室内は寒い冬の日と言うのに暖房もなく、客が2〜3人コートの衿を立てて隅のテーブルに腰をかけてい た。どこからか、隙間風が吹くのか寒いので衿を立てカウンターに座ってメニューを見て驚いた!飲み物は唯一つ、ウオッカのストレートシングルのみ、肴は厚揚げの網焼きと松の実の乾き物だけであった・・・そして何故暖房が無かったのかは暫くしてから分かったのだが・・