日本酒とらうま物語


日本酒とらうま物語 <下の巻>

 京都から東京へグラフィックデザインを勉強する為に上京しました。
西も東も判らない東京暮らしの始まりです。
新宿から京王線で一つ目「初台」という所が東京で初めての一人住まいのネグラでした。その近く(甲州街道)に一軒の赤ちょうちんがあり、お金の無い自分にとって、唯一通える酒場でもありました。そこはやはり、一人の年老いた女将(おばあさん?)がやっていましたが、ある寒い木枯らしが吹く、冬の宵、ちょっと煤けた暖簾を掻き分け店の中に入っていった・・・

「いらっしゃい・・」
客はまだ一人もいない、さびれた感じの場末の酒場だ。
それは、ちょうど木枯らしの吹く寒い日であったので、まずは温まろうと「熱燗で・・」と注文した。燗がつくまではカンテキの上に網を乗せ厚揚げをあぶって肴にしてくれた。そこまでは良かったのだが「熱燗あがり」でお猪口に入れて、口まで運んだのだが、この燗「本当の熱燗」で熱すぎたので、あまりにも日本酒の匂いが鼻について・・・・
それからと言うものまったく日本酒が飲めなくなってしまったのでした。

 それがつい最近まで日本酒が苦手だったという「とらうま」だったのです。
現在は食べ物の趣向の変化や、歳の取り方のせいか、日本酒を楽しめるようになった。